水のコラム
井戸ポンプの種類や選び方・DIYで設置する方法
自然災害が起きたときでも止まることなく使える井戸ポンプは、水道代の節約につながるなどのメリットも多く人気があります。ただ、井戸ポンプを使うにあたっては、事前に準備しなければならないこともあり、「面倒そう」と感じたり「難しそう」と考えたりする方も多いです。
確かに、修理や点検などの手間を考えると、水道とは違った手間が掛かりますが、意外と自分でもできることが多いのをご存じですか?今回は井戸ポンプの種類と、ご自宅に合ったものを選ぶ方法、DIYで設置する方法について解説します。
井戸ポンプの種類
井戸ポンプには手押しタイプと電動タイプの2つあります。手押しは手で押して水をくみ上げるタイプで、電動は電気を使って水をくみ上げるタイプです。
そんな2種類の井戸ポンプですが、さらにその構造からも選ぶ必要があります。それが浅井戸ポンプと深井戸ポンプです。それぞれの特徴を紹介します。
浅井戸ポンプ
浅井戸ポンプは、大気圧を使って水をくみ上げるポンプです。給水管を真空状態にして水を吸い上げる仕組みです。平たく説明すると、ストローで飲み物を飲む用量と同じです。
深井戸ポンプ
深井戸ポンプは浅井戸ポンプよりも深さのある水面に使用します。給水管である程度の高さまでジェットポンプを使ってくみ上げます。
ジェットポンプは吸込管と圧力管の二つが装着されていて、圧力管によって井戸へとくみ上げられた水が、吸込管へ圧力を掛けた高速水を送り込みます。ジェットノズルによって高速水・井戸水が合わさって圧力がさらに強まることで水をくみ上げる仕組みです。
井戸ポンプの選び方
家庭用の井戸ポンプを選ぶためにはその種類について把握し、何が自宅に合っているのかを知ったうえで選ぶことが大切です。ここでは井戸ポンプを選ぶポイントについて解説します。目的の井戸ポンプを選ぶための参考にしましょう。
井戸の選び方 | 内容 |
---|---|
井戸のタイプ | 手動タイプと電動タイプがある 使いやすさやそれぞれのメリット・デメリットについて把握する必要がある |
電源 | 電動タイプの井戸に決める場合、電源を調べる必要がある 井戸の電源には「100V」「200V」があるが、一般家庭では「200V」まで使用できないケースがあるため、確認が必要 |
周波数 | 東日本であれば50Hz、西日本であれば60Hz お住まいの地域の周波数が不透明な場合は電力会社公式サイトなどで確認する必要がある |
深さ | 浅井戸ポンプであれば「8m」 深井戸ポンプであれば「8m」以上となる |
井戸ポンプを選ぶためにはいくつかの項目から選ぶ必要があります。そのなかでも特にチェックしておきたい部分や調べておく必要がある項目について記載していますから、井戸ポンプの設置について検討している方はしっかり目を通しておきましょう。
なお、検討してみてもよくわからなかったり、具体的にどうすればよいのか決められなかったりする場合には、最寄りの水道業者に問い合わせることをおすすめします。なぜなら、あまり理解していないまま井戸ポンプを購入しても、深さや電源、周波数が異なっていた場合使用できないからです。
さらに、井戸ポンプを設置するためにはあらかじめどこに掘って設置するかを決めなければならないので、専門業者の判断が必要になることもあります。失敗を防ぐためにも、適切な井戸ポンプを設置するには専門業者に問い合わせましょう。
井戸ポンプをDIYで設置する際の費用
DIYで井戸ポンプを設置する際の費用は以下となります。
種類 | 金額 |
---|---|
浅井戸ポンプ本体 | 70,000円~200,000円 |
深井戸ポンプ本体 | 100,000円~200,000円 |
深井戸ポンプ(ジェット付き) | 本体120,000円~300,000円 |
塩ビ管 | 40,000円前後 |
保温材 | 10,000円前後 |
備品(設置に必要な細かな物) | 6,000円前後 |
井戸ポンプの用途などに合わせて用意するタイプも異なります。それぞれのポンプを比較しても、新品の場合は150,000円〜300,000円前後で購入できることがわかります。
また、ポンプだけでなく、設置するために使う備品なども用意しなければなりません。備品の内訳としては、井戸ポンプにつなげるための塩ビ管や保温材、カッターやドライバー、接着剤などです。
もともとご自宅にある場合は、備品の金額が少なくなりますから、全体的な予算を考えても、300,000円前後用意しておけば井戸ポンプの設置は可能です。
井戸ポンプをDIYで設置する方法
井戸ポンプをDIYで設置するには以下の工程に沿ってクリアしていきましょう。
• ボーリングデータをチェックする
• 区役所などで井戸の設置状況を確認する
• 自作の道具で井戸水が湧き出るあたりまで掘る
• 井戸ポンプの設置
• 水質調査を行う
ボーリングデータをチェックする
井戸を掘るには、まず「ボーリングデータ」をチェックする必要があります。ボーリングデータとは国が管理する地層にまつわるデータです。ボーリングデータを細かくチェックすれば地層の質や固さについてあらかじめ情報収集ができ、穴掘りに役立ちます。
区役所などで井戸の設置状況を確認する
次に井戸掘りを行う地域にある区役所などで井戸の設置状況について確認します。この工程をクリアすることで現在井戸を設置しようとする場所が最適かを確認できます。
ほかにも井戸水を生活用水に切り替えるためには水道料金の手続き変更などを行う必要もあります。そういった場合も区役所での手続きが必要となりますから、区役所を訪れた際は合わせて手続きを済ませておくと安心です。
自作の道具で井戸水が湧き出るあたりまで掘る
井戸ポンプを設置するためには、地中に流れる地下水をくみ上げられるだけの深さまで掘る必要があります。どこまで掘れば地下水が出るかは地域によって違いがありますが、最寄りに井戸ポンプが設置されているのであれば7mほど掘ることで地下水が出ると考えられます。
7mもの深さを自分で掘るのは大変と考える場合は、「弁利用型井戸掘り機」を自作したり「打ち抜き井戸」と呼ばれる必要最低限の範囲を掘り進めて井戸を作ったりする方法がおすすめです。また、ホームセンターでも井戸掘り器が20,000円~50,000円前後で取り扱っていますので、そちらを検討してみても良いでしょう。
井戸ポンプの設置
穴を掘ることができたら掘った井戸のなかに給水ホースを挿し、井戸ポンプとつなげます。塩ビパイプや蛇口などを取り付けて設置していきましょう。
水質調査を行う
井戸ポンプの設置が終わったら最後に水質調査を行います。飲用可能かどうかを把握するためには水質基準51項目をクリアしなければなりません。その際の費用は約50,000円程度です。
また、水質検査は定期検査も行う必要があります。定期検査の場合は11項目~24項目をクリアする必要があり、8,000円~25,000円の費用が掛かります。
まとめ
井戸ポンプをDIYによって設置するための選び方や種類、その設置方法について解説しました。自然災害の多い日本だからこそ親しまれている井戸ポンプは、いくつかの工程をクリアすることで個人でも設置できることが理解できたかと思います。
今回のポイントは以下のとおりです。
• 井戸ポンプの費用相場は種類によって異なる
• 使いやすいタイプを選んでも300,000円前後で設置可能
• 井戸ポンプを設置するには確認しておく項目がある
• 区役所などで井戸ポンプ設置に適しているかを調べる
• ボーリングデータチェックで地質調査
• 自分で穴を掘るなら自作orホームセンターで購入
• 井戸設置後は水質調査を行うまで飲まない
井戸ポンプには使い方や環境によって選び方が異なるため、ポイントを踏まえて井戸ポンプの設置を検討しましょう。